小さな工務店やリフォーム会社こそ集客にWebマーケティングが必要な理由
昨今の資材価格や販売価格の高騰で、住宅業界は受注が鈍化・減少に転じています。これから人口が減りますので、業界を取り巻く環境はますます厳しくなっていくでしょう。
しかし、そんな中でも前年以上の結果を出し続けている会社があります。そんな会社は、Webマーケティングをミカタに付け、お客さまとの接点を増やしているのです。
本稿では、集客に役立つWebマーケティング施策を分かりやすくご紹介します。新築やリフォームの集客でお困りの方の参考になれば幸いです。
小規模の建築会社にWebマーケティングが必要な理由
ティングとは、商品やサービスを効率的に消費者に購入してもらうための活動のことです。簡単に言うと「売れる仕組みづくり」ですね。市場調査や顧客分析、ブランディングなどさまざまな施策が該当します。
これから、少子高齢化で人口や住宅が必要な世帯数は減少していきます。マーケットが縮小しますので、小規模の工務店やリフォーム会社は、やみくもに営業活動をおこなうと自然淘汰(とうた)されるかもしれません。
では、どうすれば生き残れるのでしょうか。―― ここで必要になるのが「売れる仕組みづくり=マーケティング」です。
住宅の情報をスマホで探す時代のマーケティングとは
とは言え、小規模の会社は大企業に比べてリソース(ヒト・モノ・カネ)面で不利です。マーケティングに注力したところで「どうせ、大手や中堅会社に負けてしまうのでは?」と不安になりますよね。
たしかに、依然として集客はモデルハウスや紹介からの受注が多い大手や中堅に分があります。しかし、受注の多くがインターネット経由に置き換わりつつあるのも事実です。
モデルハウスのバーチャル化やネットの評判・口コミも、小規模の会社にとって追い風です。展示場を持てない会社が、大手と同様の集客機会を得たと言っていいでしょう。
ですから、小さな工務店やリフォーム会社にとって、Webマーケティングの重要性が年々上昇しているのです。
Webマーケティングなら大手とも戦える
大手は数や規模で勝負するマスマーケティングを実施しています。チラシやテレビCM、全国の住宅展示場がその典型ですよね。大手の広告会社や集客代行サービスとも、太いパイプを持っています。
ブランド力も高く、資金があるので海外へ出ることも可能です。事実、大手ハウスメーカーの中には、すでに営業利益の7割を海外事業で稼いでいる企業があります。
一方、小規模の工務店やリフォーム会社にマスマーケティングや海外展開はできません。特定の市場を深掘りするニッチ戦略と、ターゲットを絞るデータベースマーケティングを武器にするのが合理的です。
さらに、小規模ゆえ莫大な契約数は要りませんよね。大手のように面で集客する必要がなく、自社の強みを磨き、自社の強みを喜んでくれる一部のお客さまに強く訴求できればいいのです。
Webマーケティングなら、認知してもらいたい相手を絞り込めます。大手が無視するような「点」を丁寧に拾えます。少コストから実施できますので、会社規模や資金力がなくても大丈夫です。
小規模の建築会社でもPDCAを容易に回せる
チラシや広告などオフラインの施策は、効果測定が簡単ではありません。正確に分析して次の打ち手に生かすには、ヒトやカネが必要です。
一方、Webマーケティング施策はデータの蓄積や細かな分析が簡単にできます。データベースマーケティングの強いミカタであり、小規模の会社でも蓄積したデータと分析結果をもとに粒度の細かい「次の手」を打つことが可能です。
リアルな施策と連携しやすい
お客さまにご来社(見学会の参加や具体的な相談など)いただくのは、ハードルが高いですよね。とくに、コロナ禍以降はこの傾向がますます強まっているのではないでしょうか。
一方、オンライン施策と掛け合わせると、ご来社のハードルが下がります。たとえば、こんな流れを確立できれば、ご来社数を伸ばすことができるでしょう。
- 看板やチラシ ⇒ ホームページ ⇒ 見込客化
- ホームページ ⇒ オンラインセミナー ⇒ 見学会
- ホームページ ⇒ 見学会 ⇒ 具体的な相談
オンラインの施策なら、すぐにご来社いただけなかった「潜在的なお客さま」と接点を持ち続けることもできます。
SNSで交流したり、ブログの読者になっていただき関係性を育んだりすることで、いざというときにご連絡を頂戴しやすくなるのです。
具体的なWebマーケティング施策とポイント
つづいて、具体的なWebマーケティング施策と、各施策のポイントをご紹介しましょう。
自社ホームページとブログ
ホームページやブログは、集客効果が出始めるまで時間がかかります。しかし、一度効果が現われると、持続的な集客が見込めます。
では、ホームページとブログはどう使い分けるのでしょうか。
ホームページ
ホームページは、会社情報や施工事例など、頻繁に更新する必要がない情報の掲載に向いています。ウェブ版の名刺やカタログのようなもの、と考えていただくと分かりやすいでしょう。
ホームページはブランディングにも一役買いますので、高いクオリティや独自の世界観を維持することが重要です。デザインやコンテンツの質が低いと、せっかく来てくれた人が離脱してしまいます。
このあとご紹介するWeb集客のほとんどは、自社のホームページに誘導することを目的としています。ですから、ホームページは見込客との関係性を育む役割も果たします。
ブログ
ブログは御社のWebマガジンのようなもので、文章を主体とした継続的な情報発信に向いています。無料ブログを利用したり、ホームページの一部として設けたりすることが多いでしょう。
ブログは、ターゲット顧客にとって役立つ情報を発信することで、問い合わせの増加につなげられます。ですから、自社の顧客層がネットで検索しそうなワードを想定して、記事を書く必要があります。
ブログの書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。ご興味がある方は、あわせてご覧ください。
自社のSNSアカウント
TwitterやLINEなどのいわゆるSNSは、見込客と双方向の交流ができます。とくに、SNS慣れした若い顧客層へのアプローチに効果的です。
情報がどんどん流れていくので、ホームページと比べて集客効果の持続性は薄いでしょう。しかし、即効性と拡散力があるので、イベントやキャンペーンの告知の際に力を発揮してくれます。
SNS運用の成功ポイントは、ターゲット層に応じたSNS媒体の選定にあります。代表的なSNSをご紹介しましょう。
LINE
LINEは国内最大のSNSで、多くの方が使い慣れています。うまく活用すれば、他のSNSに比べて気軽にご相談をいただける可能性が高いでしょう。ただし、拡散力は他のSNSと比べると低めです。
LINE公式アカウントで会社用のアカウントを開設すると、個人用のLINEと似たような使い方ができます。メッセージ機能を使えば、複数のお客さまにイベント情報等を一斉発信することも可能です。
Twitterは文字を主体とした投稿(つぶやき、あるいはツイートと呼ばれる)が可能で「1投稿あたり140字以内」という文字数制限があります。この制限が手軽さにつながり、人気のSNSとなりました。
Twitterは投稿が時系列で並ぶことからリアルタイム性が高く、優れた拡散機能も持っています。他のSNSに比べてホットな情報の拡散力がバツグンに大きく、自治体も災害情報発信等に活用しています。
Instagramは、写真や動画を主体とした情報発信ができるSNSです。視覚に訴えかけるコンテンツを持った業界との親和性が高く、10~20代の若年層を中心に広がっています。
スマートフォンで撮影した施工事例を簡単に投稿できますので、住宅業界でも広く活用されています。ハッシュタグによるリレーの手軽さも、魅力のひとつです。
Facebookは実名で登録するSNSで、匿名の登録が可能な他のSNSに比べて、フォーマルで信頼性が高い点が特徴です。幅広い年代のユーザーに支持されていて、高い年齢層にも普及しています。
個人ページの他に会社用の「Facebookページ」を解説できます。日常的な投稿だけでなく、Messenger機能を使ったお客さまとのコミュニケーションも可能です。
YouTube
YouTubeは、動画を配信できるSNSです。年齢・性別を問わず視聴者を増やしていますので、Facebookと同様に、高い年齢層にもアプローチできます。
モデルルーム公開や家づくりノウハウなど、文章だけでは伝えにくい情報の発信に向いています。文章を読むのが苦手な層に訴求できる点も、魅力のひとつでしょう。
ここでご紹介したSNS以外にも、15秒~1分程度のショート動画に強い「TikTok」や、ラジオのように音声の配信ができる「stand.fm」なども注目されています。顧客層に合ったものを、ミックスしてご活用いただくとよいでしょう。
Web広告
インターネット上の有料の広告枠は、出稿すると即効性が期待できます。ですから、新規開業のお知らせやイベント告知、自社メディアの効果が出るまでのつなぎとして有効です。
Web広告は、露出させたいターゲットの属性をある程度しぼって出稿できます。ただし、集客効果に持続性がないので、他の施策との連携が大切になります (ホームページへ誘導して、ブログで関係性を構築する等)。
いくつか、代表的なWeb広告をご紹介しましょう。
リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!JAPAN等の検索結果の上下に表示される広告のことです。いわゆる「今すぐ客」にアプローチしやすく、出稿から効果を得られるまでの期間が短いのが特徴です。
一方、潜在的な顧客や無関心層にはリーチできません。課金方法が「クリック課金」ですので、少額からスタートできますが、住宅業界や不動産業界は出稿単価が高額になりがちです。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、他者のWebサイトやアプリなどの広告枠に表示される広告のことです。写真や動画などの視覚情報を使い「今すぐ客」だけでなく潜在層にもアプローチできます。
課金方法はクリック課金やインプレッション課金が主流で、低コストから始められます。しかし、リスティング広告と同様に、住宅業界や不動産業界は出稿単価が高額になりがちです。
記事広告(PR記事)
記事広告とは、他者のメディア内の記事で自社商品をPRしてもらう手法のことです。他者のメディアの信頼性や知名度を利用して自社商品を紹介できますので、潜在的なお客さまにもアプローチできます。
リスティング広告やディスプレイ広告に比べて、広告感が薄いところも魅力のひとつです。ただし、記事作成にあたり取材や撮影が必要になるケースが多く、完成・出稿するまでに時間がかかります。
SNS広告
SNS広告とは、Twitter・Facebook・InstagramといったSNSの広告枠に表示する広告のことです。「今すぐ客」からまだ無関心の「未来の顧客」まで幅広くアプローチできます。
昨今、SNSを見て購入を検討する方や、購入前の下調べの場としてSNSを活用される方が増えています。顧客層に合ったSNSに出稿することで、大きな反響につなげることができます。
工務店やリフォーム会社のWebマーケティングに必要な準備
Webマーケティングを進めるにあたり「市場と顧客・競合他社・自社の強み」について深く知る必要があります。
市場と競合他社を知ることで自社の強み(USP)を見つけ、その強みを喜んでくれる顧客を特定して、顧客に向けてアピールする ―― というのが大ざっぱな流れになります。
では「市場と顧客・競合他社・自社の強み」の情報はどのように集めればよいのでしょうか。有名な情報収集・分析方法をご紹介しましょう。
3C分析
3C分析は、ビジネス環境を分析するための手法(フレームワーク)のひとつです。以下の3つの「C」について情報を洗い出します。
- 市場(customer)
- 競合(competitor)
- 自社(company)
詳しい利用方法は、以下の記事をご覧ください。
STP分析
STP分析は、自社やサービスの市場における立ち位置を明確にするための手法(フレームワーク)のひとつです。以下の3種類の英単語の頭文字から名付けられました。
- Segmentation(セグメンテーション)
- Targeting(ターゲティング)
- Positioning(ポジショニング)
まずは、年齢・性別・家族構成などで顧客の分類をつくります (セグメンテーション)。次に、その中から御社が狙うべき顧客を定めます (ターゲティング)。最後に、競合他社を見据えた立ち位置を決めます (ポジショニング)。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
SWOT分析
自社を分析する際は、SWOT分析が役に立ちます。SWOT分析では、会社内・会社外の環境を以下の4つの観点から分析します。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
具体的な分析作業をおこなう際は、列に強みと弱み、行に機会と脅威を配置した4象限の表を用いて「クロスSWOT分析」をおこないます。
強み×機会:ビジネスチャンスに対して、自社の強みをどう生かすか
強み×脅威:自社の強みを使って、脅威をどのように切り抜けていくか
弱み×機会:ビジネスチャンスを生かすために、自社に足りない部分をどう補強するか
弱み×脅威:脅威の影響を最小限にとどめるために、自社をどう補強するか
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
》リフォーム会社のSWOT分析とは?戦略フレームワークで強み・弱みを洗い出す!
【まとめ】小さな工務店やリフォーム会社こそ集客にWebマーケティングが必要
現在、住宅業界は資材価格や販売価格の高騰で苦労が続いています。そんな今こそ、Webマーケティングを活用した集客増・受注増に注力してみてはいかがでしょうか。
Webを活用すると、街の小さな工務店やリフォーム会社でも、大手に負けない戦い方ができます。蓄積されたデータを利用した改善策を実施することで、大きく成果を向上させることもできます。
「ネットで集客したいけど、なかなか時間が取れない」「何から手を付けたらいいのか、分からない」とお困りの方は、以下の記事も合わせてご覧ください。弊社の集客代行サービス 「NETZERO (ネットゼロ)」の概要についてご説明しています。
》集客にお困りのリフォーム会社・工務店・塗装会社の経営者の方へ