工務店やリフォーム会社の地域密着型戦略とは?成功のポイントを解説
工務店やリフォーム会社の経営者の皆さま。御社の商圏では、競争が激化していないでしょうか。「集客や売上が伸び悩んでいる」とか「競合他社との差別化が難しい」など、悩みや課題を抱えていませんか。
昨今、そんな問題を解決したい方の関心が「地域密着型戦略」に集まっています。地域のニーズやトレンドを把握し、地域に合ったサービスやコンテンツを提供することで、地域の顧客からの支持を獲得する戦略です。
本稿では、地域密着型戦略の概要や実施方法を解説します。あなたも本稿を参考に、競合他社との差別化や地域のニーズを満たすことに挑戦してみませんか。売上アップにつながりますよ。
工務店やリフォーム会社に必要な地域密着型戦略とは
さっそく、工務店やリフォーム会社に必要な地域密着型戦略について解説していきます。まずは、地域密着型戦略の概要から理解していきましょう。
地域密着型戦略の概要
そもそも、地域密着型戦略とは、どのような戦略なのでしょうか。要点をご紹介します。
地域密着型戦略とは
地域密着型戦略とは、地域の顧客を重視し、地元のニーズや文化に合ったサービスを提供する戦略のことです。地域のお客さまとの信頼関係を築くことで、地域の市場シェアの獲得を目指します。
町の工務店やリフォーム会社にとって「地域密着型」ほど重要なキーワードはないでしょう。「地域の特性を理解し、地域の顧客とのコミュニケーションを大切にすることが成功のカギ」と言っても過言ではありません。
地域密着型戦略の主なポイントは、以下のとおりです。
市場動向や競合他社の動向をリサーチする:地域の住宅市場の情報を正確に把握する
地域の顧客のニーズを把握する:ニーズに合ったサービスや製品を提供する
地域の住民との関係を深める:地域のイベントやコミュニティ活動に参加する
口コミマーケティングを展開する:地域の顧客からの信頼を高める
地域に名を知らしめ認められることは、簡単ではありません。だからこそ、地域密着型戦略がうまくいったときは、他社の追従を許さない強力な武器になります。
ランチェスターの法則を活用する
ランチェスターの法則の「弱者の戦略」を活用することも、地域密着型戦略に有効です。
ランチェスターの法則とは、簡潔に言うと「戦争でどちらが勝つかを計算する法則」のことです。一次法則と二次法則の、ふたつの法則があります。
一次法則:剣や弓などを使い、一対一で戦う局地的・古典的な戦闘に関する法則
二次法則:銃や爆弾などを使い、集団で戦う広域的・近代的な戦闘に関する法則
この法則は、ビジネスにも転用されています。自社と他社の強さ(市場シェア)を比べて、どうやって勝つかを考えるのです。
強者(市場シェアが高い企業)は、二次法則を適用できる戦い方を選び、追随戦略で他社のシェアを奪います。敵と同じ性能の商品を持ち、広域戦・集団戦に持ち込んで、力を総動員することで相手を圧倒するのです。
一方、弱者(市場シェアが低い企業)は、強者に二次法則を適用させない戦い方、つまり一次法則を適用できる戦い方を選びます。弱者の戦略の主なポイントは、以下のふたつです。
強者との直接的な競争を避ける
ニッチな市場や特定の顧客層を狙う
町の工務店やリフォーム会社は、大手企業に比べて充分なリソース(人や資金など)を持っていません。ですから「弱者の戦略」を取ることで、限られたリソースを最大限に活用する必要があります。
つまり、敵より性能のよい武器を持ち、狭い戦場で力を一点集中して戦うのです。弱者の戦略なら、そこまで手を回す余裕のない大企業の隙(ニッチな市場)を突いて、自社の製品やサービスを深く売り込むことができます。
地域密着型戦略の目的
地域密着型戦略の目的はなんでしょうか。なにを目指せばいいのでしょうか。―― 主な目的は、以下のふたつです。
地域のお客さまに対して「強力な存在感」を構築し、競争力を高めること
地域の特性や需要に合わせたサービスや販促を展開し、顧客とのつながりを深化させること
地域密着型戦略では、上述の目的を達成するために以下のような取り組みが必要です。
地域の文化や風土を理解する
地域の問題解決に積極的に取り組み、リーダーシップを発揮する
地域との協力関係を構築し、地域全体の発展を促進する
地域情報を発信することで、地域住民とのコミュニケーションを図る
単に営業エリアを限定するだけでは「地域密着」とは言えません。地域の特性や顧客のニーズを理解し、地域社会との結びつきを強化することが重要です。
その結果、お客さまのロイヤルティ(信頼や愛着心)が高まり、競合他社との差別化につながるのです。
地域密着型戦略の重要性
小規模の会社が取る「弱者の戦略」は、大手企業が取る「強者の戦略」に対して有効な対抗策になります。そして、他ならぬ地域密着型戦略こそ、その「弱者の戦略」なのです。
大手企業は、全国で統一された設計やサービスを提供しています。品質も一定に保つ必要があり、未知の建材や設計手法が使えず、ニッチなニーズに対応しきれません。
一方、地場の工務店やリフォーム会社なら、ニッチなニーズに対応できます。住まいに関する地域のお困りごとを解決しながら、評判を高め、新規顧客の獲得につなげていけるでしょう。
地域のイベントやコミュニティ活動に参加して、会社の知名度やイメージを高めることもできるのではないでしょうか。大手企業がそのような地道な活動をしてくることは、まずないでしょう。
工務店やリフォーム会社が、地域のニーズやトレンドを把握する方法
では、地域密着型戦略を実施するにあたり、どうやって地域のニーズやトレンドを把握すればいいのでしょうか。―― 調査方法や情報収集のポイントをご紹介しましょう。
調査方法
地場の工務店やリフォーム会社が「地域のニーズやトレンド」を把握する方法は、いくつかあります。代表的なものをご紹介しましょう。
地域の調査データや統計データを活用する
地域の市場調査やアンケート調査を実施する
お客さまの声を集めてニーズを把握する
競合他社の動向をリサーチする
協力業者や建材メーカー、銀行マンに聞く
地域の調査データや統計データがあるようなら、フル活用しましょう。地域の人口構成や家族構成、需要動向が分かれば、今後のニーズを推測できるかもしれません。
地方公共団体や商工会議所などが、調査を実施していないでしょうか。データがないようなら、調査会社に依頼して、市場調査やアンケート調査を実施してもよいでしょう。
市場調査のテーマが思い浮かばないときは、以下のWebサイトが参考になります。全国を対象にした調査結果が載っていますので、関心を持ったテーマを転用してみてはいかがでしょうか。
参考:生活定点 05 住
参考:調査のチカラ
セミナーやイベントを開催して、自らアンケートを収集する方法もあります。お施主さまアンケートや顧客からのフィードバックも、活用できます。
競合他社が発信する情報やキャンペーン告知から、地域のニーズを察知できるケースもあります。他社のWebサイトやSNSをチェックしてみましょう。
協力業者や建材メーカー、銀行マンも、有力な情報源です。彼らに聞いてみると、地域の住宅動向を知るヒントをつかめるかもしれません。
情報収集する際のポイント
情報収集する際は、以下の点に気をつけましょう。
信頼性のある情報源を選ぶこと
複数の情報源を参考にすること
情報の正確性を確認すること
時間の経過とともに変化する情報に注意すること
自社の強みを把握しておくことも大切です。「自社の強み」と「地域のニーズやトレンド」が合致している部分を探しましょう。
工務店やリフォーム会社のための地域密着型戦略の具体的な実施方法
つづいて、地域密着型戦略の具体的な実施方法をご紹介します。
地域に特化した商品やサービスを提供する
地域密着型戦略では、地域に特化した商品やサービスを提供することがとても大切です。たとえば、地域の素材を活用したり、地域の風土や気候に合った設計を提案したりできないでしょうか。
地域に特化した商品やサービスをうまく展開できたら、施工事例やお客さまの声を自社のホームページに掲載しましょう。施工事例やお客さまの声は、以下の効果を生んでくれます。
ウィンザー効果:自己申告より口コミや評判のほうが信頼される心理効果
バンドワゴン効果:時流に乗っていると認識されると、さらに支持や人気が加速する現象
自社のホームページも、地域密着型にしていくとよいでしょう。
地域に密着したイベントやキャンペーンを実施する
地域に密着したイベントやキャンペーンは、地域密着型戦略の一環として活用できます。イベントやキャンペーンの例をあげてみましょう。
地域の名産品を使ったキャンペーン
地域の歴史や文化を紹介するイベント
地域の祭りやイベントに協賛し、ブースを出展
このようなイベントやキャンペーンは、地域の人々との交流を深め、信頼関係を築くよい機会になります。地域に認知されることが、地域密着型戦略の成功につながるとお考えください。
地域に合ったコンテンツを作成して配信する
昨今、集客経路として、Webサイトが無視できないものになっています。御社は、ホームページからしっかり集客できていますか?
ホームページも、地域密着型戦略の一環として活用できます。自社ウェブサイトやブログなどで、地域に合ったコンテンツを配信して、地域住民の目に触れる機会を増やしていただくとよいでしょう。
コンテンツの例をご紹介します。
地域の住宅事情や建築に関する情報
地元の歴史的建築物や風土についての情報
地元の人々の生活に関わる情報
地域のイベントやお祭りなどの情報
上述のようなコンテンツを作成して配信することで、御社が地域の一員であり、地域通であると認識してもらいやすくなります。地域のお客さまがそのように認識してくださると、以下の効果が働きます。
近接の要因:近くの人に好意を持ちやすくなる心理傾向
内集団バイアス:自分が所属する集団に対して肯定や好意を示す心理的傾向
地域に根ざしたコンテンツを作成する際、ぜひ取り入れていただきたいポイントもご紹介しておきましょう。
タイトルに地域名を入れることで、地域に密着したコンテンツであることを強調する
地域の住民にインタビューしてリアルな声を取り入れることで、親近感を醸成する
コンテンツに地元の写真やイラストを使用することで、地域の雰囲気を伝える
地元の協力業者を紹介することで、地域の連携や協力関係をアピールする
地域密着型のコンテンツ作成で大事なのは「地元の人々に役立つ情報を提供する」という強い思いです。地域の住民がコンテンツにたどり着き、何度も目に触れることで、信頼や親近感が醸成されます。
工務店やリフォーム会社が、競合他社との差別化を図るためのアイデア
最後に、競合他社との差別化を図るためのアイデアをご紹介します。
商圏を狭い地域に限定する(徐々に広げる)
初めて地域密着型戦略に取り組まれる方は、商圏を狭い地域に限定し、徐々に広げていってはいかがでしょうか。
ランチェスターの法則の「弱者の戦略」を思い出してください。小規模の会社には、局地戦を繰り返し、勝利を重ねる戦い方が向いています。まずはごく限られた地域で一番になり、一番になれる地域を増やしていきましょう。
施策実施の初期の段階では、Webマーケティングよりも、チラシなどの地域密着型の広告が効果的かもしれません。例をあげると、こんな感じです。
狭い地域に絞り込み、ポスティングをおこなう
地域のイベントや集会でチラシを配布する
地域のイベントや祭りに協賛する
たとえば、御社の近隣に築20年ぐらいの分譲マンションはないでしょうか。そろそろ、水回り設備の替えどきです。御社が水回りのリフォームに強いなら、集中的にポスティングチラシをまいてみてはいかがでしょうか。
そのマンションで数件の実績がつくれたら、おそらく御社が「マンション内の水回りリフォームの実績No.1」になっているはずです。それを武器に、商圏を広げられないでしょうか。
何度もお伝えしていますが、一番になれそうな自社の強みを見つけ、その強みを生かせるニッチな商圏で勝負することが大切です。
お客さまとのコミュニケーションや口コミを重視する
地域密着型戦略を成功させたいなら、地域のお客さまと積極的にコミュニケーションを取りましょう。接触回数が増えれば増えるほど、有利になります。コミュニケーションを通じて、自社やあなたのことを覚えてもらいましょう。
人はよく知った人に好感を持ち、知らない人は信用しません (単純接触の原理)。誰かがリフォームを思い立ったとき、まったく知らない会社より、よく知っていて好感を持っている会社に依頼する可能性が高いですよね。
たとえば、こんな方法でコミュニケーションを取ることができます。
ブログやSNSでお役立ち情報を発信して、読んでもらう
定期的に開催されるボランティア活動に参加して、顔を覚えてもらう
セミナーやワークショップを開催して、社名を知ってもらう
ここで大切なのは、やはり「地域の役に立ちたい」という強い思いです。「どうすれば、もっとお金をもらえるか」ではなく「どうすれば、もっと『ありがとう!』をもらえるか」と考えてみてください。
【まとめ】地域密着型戦略を成功させるポイント
地域密着型戦略は「地域に特化したサービスの提供、地域に密着したイベントやキャンペーンの実施、地域に合ったコンテンツの配信」などが成功のカギになります。
また、商圏を狭い地域に限定して徐々に広げる戦略や、顧客とのコミュニケーションを重視することも重要です。ランチェスター法則の「弱者の戦略」を参考に、施策を立案してください。
これらの取り組みを通じて工務店やリフォーム会社が競合他社との差別化を図り、地域との強い連携を築くことができれば、きっとよい結果につながるでしょう。
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