工務店やリフォーム会社がオウンドメディアを持つメリットとデメリット
本稿では、建築関連会社がオウンドメディアを持つメリットとデメリットについて解説します。
「Webサイトからの集客のテコ入れがしたい」とお考えの工務店様やリフォーム会社様のご参考になれば幸いです。
年々、オウンドメディアから見込み顧客を獲得しようと挑戦する建築関連会社が増え続けています。しかし、多くの会社がうまく成果を獲得できていません。
成果が出ないのは、オウンドメディアの特性を理解していないからであり、成果が出る前にやめてしまうからです。必要な知識を得たうえでコツコツと運営にあたれば、おのずと良い結果が出ます。
オウンドメディアで長年結果を出している会社は、このことを心得て活用されています。御社もオウンドメディアの特性を踏まえた運営をおこない、見込み顧客の集客につなげてみませんか。
オウンドメディアのメリットとデメリット
何ごとも、優れた点や弱点を把握しないまま適切に活かすことはできません。さっそく、オウンドメディアの長所と短所をご紹介しますので、どのような姿勢で運営すべきか、考えるヒントにしてください。
オウンドメディアのデメリット
まずは、オウンドメディアのデメリットから、3つご紹介します。
効果が出るまで時間がかかる
運営するためのリソースが必要
常に改善が必要
開始直後のオウンドメディアは、記事が少ないうえにドメインの力も弱く、検索エンジンの上位に表示されません。よって、数ヶ月は「読者ゼロ」の状態が続きます。それでも読者に有益な記事をコツコツ書き貯めていくしかなく、苦行に感じるでしょう。
良質な記事を量産していくには、費用と時間がかかります。オウンドメディアやSEOに長けた担当者も必要でしょう。スタッフだけで回せないようなら、記事作成の外注化も検討しなければならず、その管理も要ります。
さらに、記事は公開したら終わりではなく、常に改善が必要です。反応を見ながら加筆や修正をおこない。古い情報は最新の情報にリライトしなければなりません。オウンドメディアは、育てる手間暇がかかるのです。
オウンドメディアのメリット
運営に苦労するオウンドメディアですが、軌道に乗れば頼れる戦力になってくれます。どのように役立つのか、ご紹介しましょう。
多くの見込み顧客を獲得できる
営業費や広告費を削減できる
ブランディングに役立つ
見込み顧客の育成に役立つ
オウンドメディアは戦力になるまで困難の連続で、育成を放棄する会社が少なくありません。しかし、この困難を乗り越えると、多くのリード(見込み顧客)が獲得できるようになります。
一度軌道に乗ってしまえば継続して集客に貢献してくれますので、広告費や営業費の低減につながります。これまで集客に使っていた時間や費用の一部は、確度が高いお客様のクロージングのために使えるようになります。
また、自社の得意な分野について積極的に情報発信していくことで、オウンドメディアの専門性や権威性が高まります。その専門性や権威性は御社のブランド力も高め、他社との競争で優位に働いてくれます。
オウンドメディアの質が高ければ高いほど、読者の御社に対するロイヤルティ(信頼や愛着)が高まります。ここまでくれば、読者が次のステップ(見学会参加やお問い合わせなど)に進むのは、もはや自然な成り行きでしょう。
オウンドメディアとは?わかりやすく解説
オウンドメディアのメリットとデメリットをご紹介しました。
ところで、そもそも「オウンドメディア」とは一体どのようなメディアなのでしょうか。要点を理解するために、もう少しオウンドメディアの特徴を深掘りしてみましょう。
「オウンドメディア」の意味
オウンドメディアは英語で「Owned Media」と書き、直訳すれば「自社が所有するメディア」となります。つまり、広義では自社のホームページやブログ、SNS、紙の会社案内などもすべて「オウンドメディア」と言えます。
しかし、現在の一般的な解釈としては、企業が運営するウェブマガジンやブログ形式の、ある領域に特化した情報発信サイトを指します。オウンドメディアには「自社の売り込みは二の次で、読者満足を優先した質の高い記事を発信し続けている」という特徴があります。
オウンドメディアの目的や役割
オウンドメディアには、メリットでご紹介したように集客やブランド醸成、リードの育成をおこなう役割があります。コーポレートサイトのSEO補強対策として活用されるケースも、少なくありません。
アーンドメディアやペイドメディアから得たリード(見込み顧客)も、オウンドメディアで温めていきます。
▼アーンドメディアとは?
会社と関係のない部外者によって生成されるメディア。たとえば、クチコミサイトや個人が発信しているブログ、SNS、報道による言及など。拡散しやすくブランド認知に大きな影響力がありますが、企業側は情報をコントロールできません。
▼ペイドメディアとは?
有料メディア。リスティング広告や動画サイトに出稿する広告など。TwitterやFacebookなどのSNSプラットフォームも、広告出稿サービスを提供しています。販売促進や露出強化に有効で、オウンドメディアへの送客だけでなく、アーンドメディアでの言及促進にも役立ちます。
オウンドメディアが注目されている背景
ご存知のとおり、現在インターネットのユーザーは、ネット広告に対して煩わしさを感じています。利益目的で加工された情報に対しても、非常に手厳しい感想を持っています。そんな中で従来の広告に代わる集客手段として注目されているのが、オウンドメディアです。
ですから、オウンドメディアでは読者視点に立った有益な情報を提供します。「広告のような企業視点のプッシュ型情報」ではなく「ユーザーが自分の意思で探し閲覧するプル型の情報」と考えていただくとよいでしょう。
そのような「有益な情報」は読者から高く評価され、検索エンジンからも高評価を得ます。おのずと検索結果の順位が上昇して、アクセス数の増加につながります。オウンドメディアは、SEOの観点からも注目されている集客手段なのです。
オウンドメディアとホームページ(自社サイト)の違い
さて、ホームページがあれば、オウンドメディアは要らないのでしょうか?そもそも、オウンドメディアとホームページは何が違うのでしょうか?
つづいて、オウンドメディアとホームページの違いについて、ご紹介しましょう。
ホームページとは?
ホームページとは、最初に閲覧されることを意図してつくられたページのことです。一般的には、Webサイトの中でも「トップページ」と呼ばれるページが該当します。
広義では、Webサイトのことを指してホームページと呼ぶことがあります。この意味では、ホームページもオウンドメディアのひとつと言えます。
たとえば、企業の場合はコーポレートサイトのことを「弊社のホームページ」と言うことがありますよね。このコーポレートサイトも、広義ではオウンドメディアのひとつです。
オウンドメディアとホームページの主な違い
広義ではオウンドメディアに含まれるホームページ(コーポレートサイト)ですが、実際の利用シーンではそれぞれ違うものを指して使われます。
たとえば「コーポレートサイト」と呼ばれるものには、会社概要や事業内容、経営者紹介など「あまり変化しない静的な企業情報」が掲載されています。「名刺の代わりを果たすもの」と考えていただくと、わかりやすいでしょう。
いっぽうオウンドメディアは、先述のとおり「見込み顧客の課題解決に役立つ情報」が掲載されます。常に記事を配信しながら最新情報への更新もおこないますので、掲載情報は変化をともない動的です。
このような違いから、閲覧者も変わってきます。コーポレートサイトは主にステークホルダー(既存顧客、従業員、株主など)や商談に乗ったお客様に見られ、オウンドメディアは商談前の見込み顧客に見られます。
オウンドメディアで成功するためのポイント
最後に、オウンドメディアを成功に導くためのポイントを5つご紹介して終わりたいと思います。
ゴールを明確にする
オウンドメディアは、必ずゴールを明確に決めておきましょう。
最終的にはご契約をいただくことが目標かもしれませんが、一足飛ばしにそこまで行けません。もう少し手前の一里塚として、オウンドメディアで集客したリードに取ってもらう次の行動を決めましょう。
このようなゴールは「コンバージョン (CV)」と呼ばれます。コンバージョンの例をいくつかあげてみましょう。
メルマガ登録
見学会参加申し込み
お問い合わせ(具体的な相談)
ゴールが明確に決めたら、リードがそこに向かっていけるように、オウンドメディア内に動線をつくっていきます。
ペルソナ(読者像)を設定する
ゴールと同じく明確にしておきたいのが、ペルソナ(読者像)です。「ペルソナ=御社に発注してくれそうな人」と考えていただくとわかりやすいでしょう。ここを外すと、いくら集客しても契約に結びつきません。
ペルソナは、文章のトーン&マナー(表現方法のルール)を決めるうえでも重要です。作成する記事はすべて、ペルソナに語りかけるように書かねばなりません。
ペルソナは、御社を贔屓にしてくださっている顧客を想像しながら設定するとよいでしょう。ペルソナの課題解決に役立つコンテンツを、ペルソナが理解しやすいように書きましょう。
E-A-Tを高める
Googleは、記事の品質評価の重要項目として「E-A-T」をあげています。「E-A-T」は以下の頭文字で、この3つを高めるようにオウンドメディアを運営していく必要があります。
Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trustworthiness(信頼性)
現在のSEOは、E-A-Tの重要度が高まっています。オウンドメディアの運営会社はもちろん、執筆者のE-A-Tも問われつつあります。各記事の執筆者の情報開示も、今後は必要になるかもしれません。
長期戦を念頭に継続できる体制をつくる
オウンドメディアの記事を、スタッフが持ち回りで執筆されているケースをよく見かけます。その多くは、なかなか検索順位や訪問者数が上がらず、モチベーションが保てなくなり放置か閉鎖されています。
オウンドメディアの育成には、長い期間が必要です。社内スタッフだけで記事を作成し続けるのが困難なのであれば、早めに記事作成は外注化して、スタッフは本業に集中するほうが合理的ではないでしょうか。
とは言え、建築や不動産のような専門的な分野は、質が高い記事を書けるライターの確保が容易ではありません。さらに、SEOを理解していることも条件に加えると、対象者は激減します。
ライターも、家づくりの職人と同じです。常に適材を探しつつ、うまく見つかったときはしっかりコネクションを築いておきましょう。
個別の記事ごとにクエリ(検索ワード)を決める
建築関連会社のオウンドメディアでは、すべての記事で検索結果上位を狙うクエリ(検索ワード)を決めて、そのクエリにあった記事構成で執筆しましょう。
ですから、そのクエリで検索した人は何が知りたいのか、何を解決したいのか、しっかり理解しなければなりません。そのうえで、課題解決に役立つ情報を、過不足なく提供できる記事が理想です。
【まとめ】オウンドメディアのメリットとデメリット
オウンドメディアは、広告に変わる集客手段として注目されています。うまく軌道に乗れば、継続して多くの見込み顧客を獲得できるでしょう。営業費や広告費の削減にも寄与します。
いっぽうで、オウンドメディアは軌道に乗るまで時間がかかります。記事は「公開したら終わり」ではなく、古い情報や成果が出ていないものは修正が必要です。そのような手間暇を惜しまなかった会社が、オウンドメディアを成功させています。
御社のスタッフだけで記事の公開を継続するのが難しそうであれば、早めに外注化をご検討ください。早い時期から質の高い記事を蓄積していただくことで、より早く結果が出ます。スタッフのみな様も、本業に集中できます。