リフォーム会社必見!住宅業界のSDGsの取り組み例・ビジネスモデル例

リフォーム会社必見!住宅業界のSDGsの取り組み例・ビジネスモデル例

リフォーム会社の経営者さま。「これからの社会の変化に、どう対応すべきか」「社会貢献しながら利益を追求できるビジネスモデルはないものか」と、疑問を抱いていませんか?

その疑問は、SDGs(持続可能な開発目標)を業務に取り入れることで解消できます。SDGsに取り組むことで、社会的価値と経済的価値の両立が可能となり、新たなビジネスの道筋を示すことができます。

本稿では、SDGsの取り組み方やビジネスモデルなどをご紹介します。あなたも、SDGsに取り組むことでビジネスモデルを再構築してみませんか?新たな視点から、事業の可能性を探ることができますよ。

SDGsとリフォーム業界の関連性とは

SDGs(エス・ディー・ジーズ)は「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標のことです。日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。

SDGsは「環境政策」と思われがちですが、その範疇を超えています。個人の健康や文化的な生活、社会の持続可能性も確保しようとするものです。ですから、リフォーム業界にも大いに関係があります。

では、リフォーム会社では、どのように取り組めばいいのでしょうか?

リフォーム業界の果たすべき役割

SDGsは、17の目標と、それらを達成するための169のターゲットで構成されています。目標は相互に関連していて、ひとつの目標の達成が他の目標の達成にもつながるケースがあります。

つまり、リフォーム業界が自身の目標を達成することで、より大きな社会変革に寄与できる可能性があるのです。

なお、SDGsの目標とターゲットについては、ユニセフのサイトがわかりやすいです。一度、ご覧ください。

参考:UNICEF「SDGs CLUB」

そもそも、住宅業界は事業そのものがSDGsと密接に関わる業界です。17ある目標の多くに影響力を持っていて、住宅業界の一翼を担うリフォーム業界も、果たすべき役割が大きいと言えます。

たとえば、脱炭素化。地球温暖化が深刻になっていて、SDGsにも「13.気候変動に具体的な対策を」という目標があります。

地球温暖化は、自然災害を激甚化・頻発化させています。温室効果ガスであるCO2の抑制は待ったなしの状態であり、リフォーム業界としては既存住宅の省エネ化や長寿命化を促進しなければなりません。

参考:UNICEF SDGs CLUB 13.気候変動に具体的な対策を

少子高齢化への対応も、SDGsと関連しています。

少子高齢化が避けられない日本では、高齢者ができるだけ長く自立して過ごせるように、住宅を適応させる必要があります。これは、SDGsの「3.すべての人に健康と福祉を」に関連します。

参考:UNICEF SDGs CLUB 3. すべての人に健康と福祉を

人手不足による工期遅延や労務費高騰の解消も、SDGsと関連します。

住宅業界は職人の人手不足が深刻で、他産業に比べて高齢者の割合が高い業界です。そして、住宅業界の現場は「男社会」です。これを改め、もっと女性や若者に参入してもらう必要があるでしょう。

このアクションは、SDGsの「4.質の高い教育をみんなに」や「5.ジェンダー平等を実現しよう」に関連します。

参考:UNICEF SDGs CLUB 4.質の高い教育をみんなに

参考:UNICEF SDGs CLUB 5.ジェンダー平等を実現しよう

SDGsに取り組むことで得られる価値

SDGsは、社会や環境によい影響をもたらすだけではありません。実行する企業やその顧客にとっても満足をもたらす、いわば「三方良し」の取り組みです。

シッカリと着実に取り組むことで、以下の効果が期待できます。

たとえば、地球環境の健全化に貢献すると、会社の信用力が向上するでしょう。その結果、顧客から愛される会社になれます。ですから、売上を押し上げる効果もあるでしょう。

環境負荷を少なくするリフォーム商品を開発すれば、コスト削減に寄与してくれるでしょう。その結果、利益率の改善が見込めますので、高利益率体質になれます。

SDGsの目標達成を通じて、新しいパートナーとの出会いもあるでしょう。そのような協業も、SDGsの目標(17.パートナーシップで目標を達成しよう)のひとつです。

一方、SDGsウオシュにならないように細心の注意が必要です。「SDGsウオシュ」とは、SDGsに取り組んでいるように見せかける行為のことです。世間は不正に敏感ですよ。

SDGsを取り入れたリフォーム業界のビジネスモデル例

ビジネスモデルとは、利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造のことです。しかし、SDGsの性格上、露骨に収益を意識したものにするべきではありません。

SDGsをビジネスモデルに取り込む際は「持続可能でよりよい世界を目指すこと」を第一に考えなくてはなりません。結果的にそれが事業と融合していて、利益の源泉になっていることが望ましいのです。

では、具体的にはどこに着目してビジネスを展開すればいいのでしょうか。考察してみましょう。

1:脱炭素化リフォームに取り組む

リフォーム会社は「脱炭素の実現に向け、住宅ストックの省エネ化を推進」していることをアピールできるでしょう。ですから、以下をビジネスモデルのスローガンにできるのではないでしょうか。

なお、( )内はSDGsの関連目標です。

「日常の消費電力を減らす」については、たとえば「住宅をZEHレベルの高い省エネ性能へ改修するリノベーション」が該当するでしょう。そのノウハウを確保することで、ビジネスモデル化できます。

CO2の輩出を減らす」は「日常の消費電力を減らす」と強く関連しています。なぜなら、日本の電気は大半が化石燃料由来だからです。消費電力を減らせば、必然的にCO2の削減につながります。

また、社用車をエコカーに切り替えることで、直接的にCO2の排出量を削減できます。社員に「うちエコ診断士」の資格取得を奨励するのもよいでしょう。以下のサービスを提供できるようになります。

スクラップ・アンド・ビルドを減らすことも、CO2の削減につながります。長寿命化リフォームを開発したり、空き家のフルリノベーションや古民家再生リフォームを推進したりするとよいでしょう。

2:少子高齢化社会にリフォームで対応する

リフォームで人々の健康的な暮らしを支えることは、SDGsの「3. すべての人に健康と福祉を」の達成に寄与します。

具体的には、厳格なシックハウス対策で、赤ちゃんにやさしい住まいにするリフォームが考えられるでしょう。バリアフリー・リフォームを推進するのも、以下のような福祉的効果があります。

バリアフリー・リフォームと言うと手すりや段差解消などが思い浮かびますが、それだけではありません。家庭内の温熱環境をコントロールすることも大切です。

たとえば、ヒートショックは、住宅を高断熱化して居室間の温度差を少なくすると防止につながります。真冬の室内の平均気温を18度以上に保つことで、一部の疾病の罹患(りかん)リスクも下がります。

参考:国土交通省 省エネ住宅でかなう健康&快適生活

なお、福祉住環境コーディネーター2級以上の有資格者は、介護保険の補助金を利用する際の必要書類(住宅改修が必要な理由書)を作成できます。従業員に、このような資格取得を奨励するのもよいでしょう。

3DXで人手不足による工期遅延や労務費高騰を解消する

住宅業界は、職人不足が深刻です。その影響で、工期の調整や労務費の高騰に悩んでいる経営者さまが少なくないでしょう。

しかし、生成AIの躍進で一部のオフィス職は代替されるのではないかと不安が広がっています。一方、当初「ロボットに代替されるのでは?」と予想されていた現場職は、それほど置き換えが進んでいません。

このような流れから、今後、職人を志す女性や若者が増えるかもしれません。そのチャンスを逃さないように取り組むことは、以下のSDGsにつながります。

すでに、システマチックに技能習得できる場を設ける「社員大工制度」を導入する企業が出始めています。男女問わず働きやすい職場づくりも、活発に進められています。

御社も、女性が活躍できるようにロボットやICT(情報通信技術)を導入したり、育休や時短勤務がしやすい環境を整えたりしてみてはいかがでしょうか。

デジタル技術の向上や革新を通じて、業務の生産性をあげることはとても重要です。とくに、住宅業界は以下のような非効率な構造がたくさん残っていますので、改善効果が大きいでしょう。

このような課題は、デジタルトランスフォーメーション(DX)で解決できます。たとえば、以下のような施策を打てるでしょう。

業務を効率化すれば、会社が高利益率体質になって、会社自体の持続可能性を高めてくれます。

持続可能なビジネスモデルの構築方法

さて、SDGsを取り込んだビジネスモデルを構築する際、どのような手順で進めていけばいいのでしょうか。

ビジネスモデルを構築する手順は、SDGコンパス(SDG Compass)と呼ばれる5ステップの行動指針が参考になります。これを利用すると、どのように取り組むべきか理解できるでしょう。

参考:SDG Compass

SDGコンパスの手順を踏むことで、ビジネスモデルの構築までステップ・バイ・ステップで進めていけます。各ステップの概要をご紹介しましょう。

ステップ1SDGsを理解する

町のリフォーム会社がSDGsに取り組む際、「何をすべきか、わからない」とスタートでつまずきますよね。一体、何から始めればいいのでしょうか。

安心してください。町のリフォーム会社がまずやるべきは「スタートする」ことです。以下のような、無理なくできるところから実行してみてください。

上述のような日々のちょっとした行動変容から、SDGsの理解を進めてみましょう。理解が進んだら、推進メンバーづくりや社内勉強会などを実施するとよいでしょう。

ステップ2:優先課題を決定する

町のリフォーム会社は、日々、業務が山のようにあるはずです。副次的にSDGsに取り組むのは難しいでしょう。時間を割けないまま、終わってしまいかねません。SDGsは、本業に組み込むことが大切です。

まずは、自社が営業活動を通じて貢献できるSDGsを見極めましょう。SDGsのどのゴールとターゲットに取り組むのがよいのか、検討してみましょう。

たとえば、あなたが以下のように感じているとしましょう。

その流れで「女性にとって活躍しやすい職場にしたいな」「営業部門の管理職を、女性に任せたい」と感じたらSDGsの「5.ジェンダー平等を実現しよう」に取り組むとよいでしょう。

ステップ3:目標を設定する

SDGsをビジネスに取り入れる際は、取り組みを通じて収益や個人の評価が生まれる仕組みをつくることが大切です。具体的で測定と達成が可能な評価指標を設定して、ロードマップを作成しましょう。

最低限決めるべき項目は、以下のとおりです。

KPI」は、一里塚とお考えください。行動を目標化するのがいいでしょう。「月4件の受注が欲しくて、一件受注するのにテレアポが30回必要」という状況なら、KPIは「テレアポ30回/週」になります。

これをSDGsの観点から考えてみましょう。たとえば、こんな感じです。

KPIが具体的な行動目標であればあるほど、達成が近づきます。ですから、KPIの設定はとても大切です。

ステップ4:経営へ統合する

目標が定まったら、その目標に合わせて経営理念やビジョンを再策定しましょう。各事業部への落とし込みも必要です。

KPIだけではまだ解像度が荒いので、現状はどうなのか、これからどんな取り組みを実施するのか、さらに突っ込んだ検討も欠かせません。

例をあげてみましょう。

このようにステップ・バイ・ステップで進めていくと、現状ではどんな仕組みが足りないのか見えてきます。新たに導入すべきノウハウやツールも具体的になるでしょう。

ステップ5:報告とコミュニケーションをおこなう

SDGsの目標に向けて走り始めたら、定期的に報告書を作成して社内で進捗を共有しましょう。期日内の目標達成が難しくなったら、思い切って達成可能な目標に再設定することも検討しましょう。

取り組みを外部に発信することも大切です。共感してくださるお客さまが増えると同時に、達成の決意を新たにする機会になります。

SDGsは、リフォーム業界にとって、事業を再考し新たな価値を生み出すチャンスです。ぜひ、御社も持続可能な未来への一歩を踏み出してみてください。

【まとめ】SDGsに取り組み、ビジネスモデルを加速しよう

ご紹介したSDGsの取り組み方をご覧いただくと、新たな施策のヒントが見つかったのではないでしょうか。SDGsの観点から事業の可能性を探ることで、今までにない挑戦の糸口が見えたはずです。

あなたの会社が取り組む具体的な施策、たとえば「人手不足の解消、脱炭素化、高齢化社会への対応」は、集客や差別化の課題を解決する可能性を秘めていますよ。

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