工務店の営業方法 – 顧客を増やすためのホームページ戦略と営業活動

資材や人件費の高騰で、住宅価格は上昇の一途を辿っています。そこにファミリー世帯の減少が追い打ちをかけ、住宅業界の競争は激しさを増すばかりです。

しかし、営業のやり方しだいでは、地場の小さな工務店でもまだ大手と戦えます。実際、町の小さな工務店やリフォーム会社であっても、順調に集客を伸ばしている会社があるのです。

本稿では、注文住宅営業のコツをご紹介します。これから、ますます競争が激化するでしょう。今のうちに、御社も将来の繁栄につながる営業基盤を築いておきませんか。

工務店の営業活動、何から始める?開始前に必要な4つの準備

「集客したいけど、どうすればいいか分からない」「営業活動、何から始めたらいいの?」とお悩みではないでしょうか。

大切なことは、まず「誰に対して営業活動をおこなうのか」決めることです。つまり「顧客 (ターゲット)」となる人がどんな人なのか、しっかり定義するのです。

やみくもに営業をかけても、成約には至りません。御社のことを必要と思ってくれる顧客に絞り込んで、営業をかけるのです。

では、顧客を絞り込むには何から始めればいいのでしょうか ―― 。まずは、市場と顧客層を把握しましょう。

1、市場や潜在顧客の情報を集める

自分たちが営業活動をおこなっている市場は、どんな市場なのか。顧客になり得る人たちには、どんな特徴があるのか。営業活動を開始する前にそれを知ることが、とても大切です。

まずは、市場と潜在顧客(自社に発注する可能性があるお客さま)の情報を集められるだけ集めましょう。

市場に一定の規模がなければ、商売がなり立たなくなります。たとえば御社の商圏では、以下はどうなっていますか?

潜在顧客の嗜好や行動も、理解しておきましょう。たとえば、以下はどうなっているでしょうか?

商圏内に「自社がNo.1になれそうな戦場」はありそうですか?No.1になれそうにない場合は、何かをずらすことでトップを目指せないでしょうか。たとえば、こんな感じで考えてみましょう。

このように、まず市場と潜在顧客について情報収集と考察を繰り返します。

2、ハウスメーカーとの違いや、競合他社の成功要因を明確にする

市場と潜在顧客について理解が深まったら、次は「競合他社」の分析です。競合他社は、どんな特徴を持っていますか?成功している工務店から学べることはないですか?

多くの地域では、大手ハウスメーカーも有力なライバルでしょう。ブランド力が高いうえに、住宅展示場で集客できます。御社の商圏でも、けっこうな棟数を建築しているのではないですか?

そんなハウスメーカーのマネは、できませんよね。同じ土俵にたってはいけません。大手ハウスメーカーしか見ていない客層は相手にせず、大手向きでない潜在顧客にアプローチするのです。

しかし、このアプローチを取るには、大手と工務店の違いを理解しなくてはなりません。さて、違いはどこにあるのでしょうか。安直に、こんなこと考えていませんか?

本当に、そうですか?本当なら、なぜそんな違いが生まれるのでしょうか?

ハウスメーカーと工務店は共通する部分が多く、思いのほか違いが曖昧です。ハウスメーカーの特徴をしっかり把握して、工務店との違いを腹に落ちるまで探りましょう。

ここには書き切れないので割愛しますが、ポイントは以下です。

事業規模を支えるために、どんな営業戦略を取っているのか。クローズド工法には、どんな長所と短所があるのか。なぜ、大量の販売間接費が必要なのか。探ってみてください。

その答えが分かれば「大手向きでない潜在顧客」とはどんな人なのか、どうアプローチすればいいのか、見えてきますよ。

3、自社の強みを明確にする

競合他社の分析が済んだら、競合他社と比較したときの「自社の強み」は何か考えていきます。まず、独自に持っている資源を洗い出してみましょう。

たとえば、以下はどうでしょうか。

独自資源を洗い出したら、その中から「強み」をつくります。強みは、顧客に伝えるべきものです。伝わった結果、顧客が御社と他社を区別(差別化)してくれます。

ですから、強みは以下の特徴に合致する必要がります。

今すぐ強みが見つからなくても、意気消沈する必要はありません。ないものは、これからつくればいいのです。

4、顧客を明確にする

最後に、顧客を絞り込みましょう。自社の「強み」を喜んでくれる顧客とは、どんな人たちでしょうか。

まずは、潜在顧客を特定の分類でわけます。これを「セグメンテーション」と言います。たとえば、こんな感じです。

セグメンテーションができたら、その中から顧客となる層を決めます。これを「ターゲティング」と言います。たとえば「50代のエンジニアで年収800万、終の棲家の平屋が希望の人」といった具合です。

このとき選ぶセグメントは、当然、商圏内にいる人物でなくてはなりません。さらに、できるだけ以下の条件にも注意しながら選定する必要があります。

ターゲティングができたら、あとは日々の営業でひた向きに顧客と向き合うだけです。もう、机上で市場や競合のことを考える必要はないでしょう。

京セラの稲盛和夫さんやセブン&アイ・ホールディングスの伊藤敏文さん、ジャパネットたかたの高田明さんなど。多くの名だたる実業家が成功の要因を語るとき、口をそろえてこんな趣旨のことを仰います。

企業に限らず、目の前のお客さまと向き合い始めたとたん好転した例は、少なくないですよね。こんな例もありますよ。

参考:「センスも何もなかった…」20年以上売れなかった錦鯉は、なぜ「M-1グランプリ2021」で栄光を掴み“中年の星”になれたのか

自社のお客さまが誰なのか分かったら、あとは「どうすれば、もっと喜んでもらえるのだろう?」と真剣に向き合ってみてください。

工務店に必要な営業方法とは?成約につながる3つの手法

営業では、お客さまとの「接触回数」が重要です。なぜなら、人と人が繰り返し接触するとお互いに好感度が上がるからです (単純接触効果)。逆に、知らない人に対しては用心したり疑ったりします。

一般的に注文住宅の検討者は、どんな家を建てたいのか、どこに依頼するのか、じっくり時間をかけて検討します。ですから注文住宅の営業では、その過程で何度も接触できるように営業活動を設計する必要があるのです。

たとえば「AISCEAS (アイセアス)」と呼ばれる購買決定プロセスがあります。この各ステップで自社を想起してもらうにはどうすればいいでしょうか。

この「AISCEAS」においては「Search」から「Action」のあいだに何度もお客さまと接触することが大切です。御社ならではの、契約に至る「勝ちパターン」を見つけてみてください。

ここからは、その一例をご紹介します。

ホームページで集客する

近年、集客のひとつの方法としてホームページやブログを使った「コンテンツマーケティング」が注目されています。とくに、町の小さな工務店やリフォーム会社にとって、有力な集客経路になっています。

資金力のある大手に、広告では勝てません。しかし、ホームページなら小さな工務店でも比較的勝ちやすいのです。コツコツとホームページを運営していくと、こんなことが起こります。

ホームページは、上述の「AISCEAS」の「SCE (SearchComparisonExamination)」にアプローチできます。

先述のとおり、昨今のお客さまはインターネットを使い「どんな家を建てようか」とじっくり検討されます。住宅についてさまざまな疑問を持ち、すぐにスマホで調べるのです。

そのたびに御社の記事を読んでもらえたら、どうでしょうか?そして、御社の記事で疑問が解決したらどんな感情を持つでしょうか?

御社のことを強く認知するだけでなく、御社に対する信頼がアップするのではないでしょうか。

家づくりセミナーに招待する

ホームページにお客さまが集まるようになったら、次は対面で接触したいですよね。ですから、ホームページに対面で接触するための動線を設けましょう。

おすすめは「家づくりセミナー」です。ホームページには「家づくりの勉強をしたい人」が集まっているわけですから、その方たちの勉強をフォローしてあげるのです。

オンラインセミナーでもいいでしょう。オンラインで開催すると、幼児がいるご家庭や感染症が気になる方に喜ばれますよ。

セミナーのテーマは、ほとんどの人が悩んだりつまずいたりするテーマがいいでしょう。たとえば、こんな感じです。

ホームページやセミナーは「まだ依頼する会社を決定していない方」を集めます。記事や講座のテーマで、そうなるように誘導するのです。

ですから、まだプラン作成や見積もりの依頼に結びつかないかもしれません。しかし、焦る必要はありません。もうひとつ、イベントを用意しましょう。

見学会に招待する

セミナー参加者が本格的に自分たちの家づくりを考え始めるタイミングで、見学会に招待しましょう。座学では理解しにくいところを、実物で解説して差し上げるのです。

見学会で際の工事現場や完成した家を見てもらえば、次のステップに進んでもらいやすくなるでしょう。こんなお声がけができるのではないでしょうか。

契約までの動線がつくり込まれていたら、必要なときに「背中を押すセリフ」が簡単に出てくるようになります。お客さまの反応を見ながらセリフを磨くこともできますよ。ぜひ、契約までの動線を整備してください。

ホームページを使った注文住宅営業のコツ

最後に、ホームページを使った注文住宅営業のコツをご紹介しましょう。

ブログ等を使い、高頻度で情報を発信する

ホームページは、つくっただけでは役に立ちません。お客さまが検索エンジンで調べものをしたときに、検索結果の上位に表示される必要があるのです。

検索エンジンで上位表示させるための対策のことを「SEO」と言います。このSEOで「記事を書く際に大切」と言われていることがたくさんあります。一部をご紹介しましょう。

じつは、更新頻度もSEO対策になります。しかも、わりと重要です。ホームページを放置しないようにご注意ください。

自分が言いたいことではなく、顧客が知りたいことを発信する

先述のとおり「需要のあるテーマ(キーワード)を選ぶ」と「テーマ(キーワード)に則した構成や情報量にする」も記事を書く際に大切と言われています。つまり、注文住宅検討者が知りたい情報を、過不足なく伝えることが大切なのです。

誰も知りたいと思っていないことを書いてはいけません。たくさんの人が知りたいと思っていることの答えを、できるだけ過分も不足もないように注意しながら伝えてください。

では「たくさんの人が知りたいと思っていること」とは何でしょうか?過不足のない情報量とは、どの程度なのでしょうか?

SEOが得意なWebサイト制作会社やライターは、さまざまな手法や分析でそれをキャッチしています。分析している時間がない方は、そういう会社やライターに外注してもいいでしょう。

自分で書く場合は、実務経験を参考にしてください。いつもお客さまに聞かれることはないでしょうか?最近、業界で話題になっていることはないでしょうか?それをテーマに書いてください。

関連性が高い情報を、連続して発信する

昨今、SEOを意識した記事制作では「トピック・クラスター」と呼ばれるモデルを活用することが主流になっています。

トピック・クラスター・モデルでは、1記事ずつ単体で検索順位を上げるのではなく、記事群で上げていく手法を取ります。戦略的に複数の記事をつくり、お互いリンクでつなぐのです。

たとえば、3記事作成するとしましょう。その3記事は、関連するテーマでまとめます。こんな感じですね。

一方、こんなテーマ選びは、あまりよくありません。3つとも、あまり関連性が高くありません。

書くべきテーマが見つかったら、つづけて関連するテーマの記事を投稿してみてください。検索順位が上がりやすくなるでしょう。

【まとめ】工務店におすすめの営業方法とは(注文住宅営業のコツ)

工務店の営業では、まず「顧客」がどんな人なのか決めることが大切です。顧客のイメージが固まったら、それに合致するお客さまと真剣に向き合い「もっと喜んでもらうには?」と熟考してみてください。

お客さまとたくさん接触することも大切です。とくに昨今では、インターネット上での接触回数が成否をわけると言っても過言ではない状態になっています。ホームページやブログは放置せず、しっかり運用していきましょう。

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