外壁塗装業界は、今後どうなる?市場の将来性と現状の課題を紹介
外壁塗装業を営む経営者さま。こんなお悩みはないでしょうか。
「元請会社や一括見積もりサービスに集客を頼っているので、薄利になってしまう」
「自力で集客に取り組みたいけど、今ならどんな手が有効かな?」
「そもそも、塗装業界に将来性はあるのだろうか?これからも、続けていけるのだろうか?」
その悩みは、業界の現状や課題について理解することで解消できます。市場の動向を把握し、主要な課題を理解することで、今取り組むべき施策が見えてきますよ。
本稿では外壁塗装業界の現状と将来性、そして主要な課題について紹介します。あなたも、この本稿を参考に適切な戦略を立ててみませんか?きっと、成功へのヒントが見つかりますよ。
外壁塗装業界の現状を知っておこう
さっそく、外壁塗装業界の現状からご紹介します。
コロナ禍を経て外壁塗装業界はどうなったか
新型コロナウイルスの影響は、さまざまな業界に深刻な打撃を与えました。しかし、外壁塗装業界はコロナ禍が追風になりました。
外壁塗装業界の足元
コロナ禍中は、リフォームの需要が増加しました。中でも外壁塗装部門が活況で、他の部門を大きく引き離しています。
リフォーム産経新聞によると、2020年は、2位の大規模リフォーム部門の倍の市場規模があったようです (外壁塗装:2兆8013億円、大規模リフォーム1兆4561億円)。
参考:リフォーム産経新聞「塗装業界の5大トレンドと将来性とは?【2022年版】」
外壁塗装業界が好調だった理由
上述のリフォーム産経新聞の記事では、この好調の背後にはいくつかの理由があると述べています。
まず、戸建て住宅に長年住み続けるには、メンテナンスが欠かせません。この「メンテナンス」に関して、外壁塗装は少し特別な意味を持っています。
一般的なリフォーム ⇒ 主な目的は原状回復や美観回復
外壁塗装 ⇒ 美観回復だけでなく、防水性等の機能を保全する目的もある
外壁や屋根の塗装を放置すると、雨漏りや木材の腐朽、シロアリなどの原因になります。ですから、外壁塗装は景気に左右されない需要があるのです。
また、塗装作業は屋外で完結します。よって、コロナウイルス感染のリスクが少なく、室内のリフォームに比べてコロナ禍でも敬遠されにくい傾向が見られました。
さらに、塗料は納品遅延が少なかったという点も大きな要因です。一方、給湯器やトイレなどのリフォーム商材は、納品遅延が発生して着工まで時間がかかりました。
外壁塗装業界の動向・トレンド
つづいて、外壁塗装業界の動向やトレンドを見てみましょう。
新規参入が相次ぐ
外壁塗装業界は、その堅調な需要と景気に左右されにくい特性から、近年さまざまな業態の企業の新規参入が相次いでいます。
たとえば、家電量販店やホームセンターのリフォーム部署が外壁塗装にも進出しています。これらの企業は、資本力と、店舗を起点にした顧客接点を持っているのが強みです。
一方、下請業者が元請になろうとする動きも活発です。これまで下請専門で塗装を請け負っていた会社が、自社で集客を強化し、元請としての立場を確立しているのです。
その背景には、以下のような理由があります。
下請は、経営が不安定
知名度が上がらず、会社規模を拡大しづらい
薄利で請け負わざるを得ない
上述のような課題が、下請から元請への転換を図る大きな動機となっています。
また、外壁塗装業運営のノウハウを提供するフランチャイズチェーン(FC)やボランタリーチェーン(VC)の増加も、新規参入を後押ししています。
これらの動きから見て取れるのは、外壁塗装業界がまだ成熟期を迎えていないということです。しばらく成長を続け、さまざまな企業の参入やサービスの多様化を迎えることになるでしょう。
近い将来、成熟期を迎える外壁塗装業界は、需要の衰退とニッチ化が進むでしょう。その中で生き残るためには、自社の強みを生かし、ニッチな顧客ニーズに応える柔軟性が求められます。
差別化がテーマに
外壁塗装業界における新規参入は、今後も続くと予想されます。なぜなら、以下のような理由で参入障壁が低いからです。
大きな機材や設備が不要
小規模の工事に限定すれば、特別な資格や免許がなくても開業できる
プレーヤーが増えれば、生き残るために差別化が求められるようになります。
現在すでに、先を見越して「来店型店舗」を構えることで差別化を図る会社が相次いでいます。店舗があると、以下のようなメリットがあります。
打ち合わせの場として活用できる
見本を見せるためのショールームとして機能する
来店を促すことで、消費者の本気度を確認できる
社名や屋号を掲げることで、知名度を向上できる
MEO等の手法を利用して、集客効果を発揮できる
成約率の向上に寄与する
さらに、情報発信も重要な差別化の手段となっています。公式ブログやYouTubeチャンネルを活用して、外壁塗装の専門知識をリフォーム会社自らが解説する事例が増えているのです。
情報発信をおこなうことで、専門家としての信頼性や権威性を高める効果があります。その結果、外壁塗装業界での競争力を高め、大手に負けない成長を達成できるようになります。
また、専門家による情報発信は、顧客が塗装・塗料に詳しくなることを促します。これにより、外壁塗装の必要性や、高グレードの塗料の有用性を理解してもらいやすくなります。
無視できない一括見積もりサービス
外壁塗装業界において、一括見積もりサービスの存在は無視できません。これは、ユーザーが複数の業者から一度に見積もりを取得できる便利なサービスで、次々と新しいものが登場しています。
一括見積もりサービスの中には上場企業が提供しているサービスもあり、優れた集客ノウハウを持っています。サービスの認知度が高まっていることもあり、多くの業者やユーザーが利用しています。
しかし、一括見積もりサービスは、以下のような理由で価格競争の激化を招いています。
消費者が簡単に相見積もりを取り、比較検討できる
サービス提供会社が「お得になる」と訴求している
業者は、価格以外のポイントを訴求しづらい
このような性質から、一括見積もりサービスは業者間での価格競争が避けられません。一方、これらのサービスは高い集客力を持っているため、業者としては依存しがちです。
これからの外壁塗装業者には、一括見積もりサービスをうまく活用しながら、自ら集客できる経路を確保することが求められます。
外壁塗装業界の主要な課題とは
住宅関連業界の中では好調に見える外壁塗装業界ですが、課題がないわけではありません。主要な課題をご紹介しましょう。
人材不足
外壁塗装業界は、堅調な需要がある一方で、深刻な人材不足に直面しています。「話はあるのに、仕事を請けられない」という会社も少なくないでしょう。
この人材不足の背後には、以下のような「3K (危険・きつい・汚い)」のイメージが強いことがあります。
足場や屋根に上る(危険)
屋外での長時間の肉体労働(きつい)
塗料等で汚れやすい作業環境(汚い)
このような条件が、若者の求職者を増やすにあたり障壁になっています。さらに「給料が安い、休日が少ない、厳しい上下関係」などのイメージも、人材不足の原因となっています。
また、職人の高齢化も進んでおり、これが人材不足を一層深刻化させています。高齢化により、作業スピードの低下や、ケガするリスクの増加が問題になっているのです。
さらに、高齢者の離職も課題になっています。求職者より退職者のほうが多いため、技術継承がうまくいかず、職人が育たない状況が生じています。これは、業界全体のレベル低下につながります。
これらの問題を解決するためには、業界全体での取り組みが必要です。職人の待遇改善や安全対策の強化、若者への技術継承の仕組み作りなど、多角的なアプローチが求められています。
利益率の低下
外壁塗装業界では、集客を他社に依存してしまうことが利益率の低下を招いています。
たとえば、一括見積もりサイトを利用すると、紹介料を取られます。元請からの仕事では、元請に多額の販売間接費がかかることから、下請業者は薄利の仕事しか受注できません。
このような状況では、以下のような問題が起こりやすくなります。
材料費や人件費を削るしかなくなる
技術力があるのに、満足のいく仕事ができない
結果的に手抜き工事になってしまう可能性がある
低品質の工事を連発すると、後々クレーム対応に追われることになります。これは、業界自体のイメージの悪化にもつながります。
業界自体のイメージが悪くなると、お客さまに疑われている状態から商談がスタートするという、不利な状況を生み出します。
また、利益率の低下は給料にも影響を及ぼし、若い職人を集めづらい状況を生んでいます。これが業界離れを進め、人材不足へとつながっています。
これらの問題を解決するためには、自社での集客力を強化し、他社への依存を減らすことが求められます。
アナログで非効率な業務
外壁塗装業界では、アナログで非効率な業務が労働時間を長時間化させる原因になっています。
まず、紙の利用が多いことが問題となっています。連絡・契約・コミュニケーションなど、多くの業務で紙が使用されており、以下のような不利益を生んでいるのです。
書類の作成や郵送業務に時間を取られる
個人データの保管にともなうリスクも負うことになる
情報共有が進まず、業務が属人的になりがち
担当者しか状況がわからず、業務の引き継ぎが思うように進まない
また、電話連絡が多いことも業務の非効率化を招いています。電話で業務が中断されることや、つながらず何度もかけ直す必要があることなど、電話連絡は多くの時間と労力を消費します。
これらの問題を解決するためには、以下のようなデジタル化や業務の効率化が求められます。
紙の利用を減らし、電子化を進める
電話連絡をチャットツールに置き換える
情報共有のためのICTシステムを導入する
これらの改善を実施すると、業務の効率化を図り、労働時間の短縮と業務のスムーズな進行を実現することが可能になります。
施工精度より知名度や会社規模が評価されやすい
外壁塗装をしたい消費者にとって、優良業者の選別は非常にハードルが高い作業です。それだけでなく、施工後の施主チェックも「簡単」とは言えません。
施工精度がある程度の水準を超えている場合、素人には仕上がりの良し悪しを見分けることができません。また、工事から数年後に不具合が露見するケースもあり、その原因が曖昧になりがちです。
ですから、消費者は技能に着目したくても、それができない状況にあります。その結果、施工精度が高い会社ではなく、以下の性質の会社にお客さまが流れがちです。
知名度が高い会社
規模が大きい会社
大手の元請会社や名の知れた一括見積もりサービスは、消費者にとって「無難な選択」になります。
小規模な会社が業界で生き残っていくためには、自社の技術力をアピールし、消費者に理解してもらえるような情報発信をおこなうことが重要です。
今後どうなる?外壁塗装業界の将来性
さて、外壁塗装業界は、今後どうなるのでしょうか。将来を予測してみましょう。
長期的な業界の将来予測
コロナ禍によりリフォームの需要が高まったことで、外壁塗装業界は恩恵を受けました。しかし、業界の将来を見据えると、安心はできません。
塗料の需要は人口増と連動しやすい特徴があります。つまり、世界的には成長産業と言えますが、先進国では成熟産業となり、日本では長期的には需要が減っていくと予測されます。
これからの外壁塗装業界は、成長期から成熟期へ移行していく過程で、顧客のニーズが細分化していくでしょう。そのため、ニーズに応える形で事業者側の専門性も細分化していきます。
塗装業界でビジネスを展開する会社は、これらの予測をふまえ、市場の変化に対応できる戦略を練る必要があります。ニッチなニーズをひとつずつ拾っていくような対応力も求められるでしょう。
短期的な業界の将来予測
外壁塗装業界は、短期的には市場拡大が見込めるでしょう。AIやロボットによる労働力の置き換えも緩やかで、突然職を奪われるようなことは起こらないと考えられます。
一定の市場拡大が見込める
外壁塗装業界は、景気に左右されにくいという強みを持っています。また、中古住宅のストックを活用する流れも、業界にとっては追風となっています。
また、一部の日本人の価値観が、新築コストの高騰やニーズの多様化をきっかけに、新築から「中古住宅+リフォーム」に移っています。これにより、外壁塗装業界も一定の市場拡大が見込めるでしょう。
この流れに乗って「脱下請」や「脱一括見積もりサービス」など、会社の利益率改革を進めなくてはなりません。今、兜の緒を締め直さねば、新規参入が激化する中で淘汰(とうた)されるでしょう。
AIやロボットの影響
一方、多くの業界でAIやロボットによる労働力の置き換えが進んでいますが、外壁塗装業界はその影響を受けにくいと言えます。
現場に合わせて塗装をおこなう高い技術力が求められるため、人間の職人の役割は今後も重要であり続けます。これは、若者へのアピールポイントとなるでしょう。
しかし、以下のようなAIやデジタルを活用できる部分については、アナログからの移行を進めることが重要です。
書類や契約書の電子化
工程管理のクラウド化
ICTを利用したコミュニケーション
上述のような業務のデジタル化を図ることで、業務がラクになるだけでなく、お施主さまにも喜ばれるサービス提供が可能となります。
外壁塗装業の経営者は、今後どう集客していくべきか
外壁塗装業界の現状や課題、将来の予測などをご紹介しました。
さて、このような状況をふまえて、外壁塗装業の経営者は今後どう集客していけばいいのでしょうか。
現在の市場環境下に適した集客戦略とは
塗装業界での成功には、自前で集客力を高めることが不可欠です。脱下請、脱一括見積もりサービスといった取り組みを通じて、自社の利益率を高めることにもつながります。
自前で集客力を高めるには、自社の認知度と信頼性を高めることが重要となります。認知度を上げるためには、以下の施策が有効です。
認知度向上目的でチラシをまく
看板や現場懸垂幕などの販促物を活用する
ショールームを設ける
一方、信頼性を高めるためには、免許や資格を取得することが有効です。
たとえば、以下の免許や資格は専門的な知識と技術を持っていることを証明し、顧客からの信頼を得るための重要な手段となります。
都道府県知事の塗装業許可
塗装技能士
施工管理技士
有機溶剤作業主任者
外壁診断士
カラーコーディネーター
また、お客さまの声を集めることも、信頼性を高めるための有効な手段になります。
さらに、自社ホームページやブログなどの「Webメディア」で情報を発信することで、認知度と信頼性を同時に高めることができます。
ホームページやブログなどの「Webメディア」を育成しよう
自前の集客には、ブログやホームページなどの「Webメディア」の活用が不可欠です。
広告による集客効果は一時的であり、広告が終了するとその効果も消えてしまいます。しかし、自社のメディアを育てることで、持続的な集客効果を得ることができます。
育ったメディアは自社の資産となり、継続して集客してくれます。また、自社のメディアを通じて情報を提供することで、比較検討されにくくなり、より安定した受注が見込めるようになります。
メディアでは、ターゲット読者にとって有益な情報を発信することが大切です。たとえば、以下の情報を発信するとよいでしょう。
業者選定のポイント
塗料の選び方
外壁や屋根のメンテナンスについて
上述の情報を発信することで、消費者が自力で業者を選別できるようになります。その結果、業者選びの際に「認知度や会社規模」だけでなく「専門性や施工品質」も考慮されるようになります。
また、Webメディアは現代のお客さまとの相性もバツグンです。今は多くの人々がインターネットを活用しており、ほとんどの人がスマホで情報収集をおこなっています。
Webメディアで情報を発信していないと、お客さまとの接点を取りこぼす可能性が高くなります。もはや、ブログやホームページなどの「Webメディア」は必須とお考えください。
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本稿では、外壁塗装業界の現状と将来性、そして主要な課題について詳しく解説しました。現在の市場環境下での最適な集客戦略と、Webメディアの育成の重要性についても説明しました。
本稿の情報が、あなたのビジネスに役立てば幸いです。これからも外壁塗装業界の動向を見つめ続け、臨機応変に適切な戦略を立てていきましょう。
あなたも、今日からWebメディアの育成に取り組んでみませんか?きっと、新たな集客の可能性が広がりますよ。
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